関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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P-066 大腿骨近位部骨折患者における歩行予後予測について~術後一週での動作能力に着目して~
三小田健洋吉田啓晃滝川麻美中山恭秀
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p. 250-

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抄録

【目的】大腿骨近位部骨折後の歩行予後予測については、術後早期の動作能力をもとに検討したものは少ない。今回は、術後早期動作能力を簡便に評価し、歩行予後を予測できるかを検討した。

【方法】受傷前に屋外歩行が可能であった大腿骨近位部骨折術後症例72 例(男性17 例、女性55 例、平均78.8±9 歳)を対象とし、退院時に屋外歩行が自立した群(自立群)と自立しなかった群(非自立群)の2 群間で早期動作能力を比較した。早期動作能力は、術後一週の時点における基本動作(寝返り、起き上がり、立ち上がり)自立度は四段階に分け、立位テストは、0:困難、1:健側荷重優位での立位、2:患側荷重優位での立位、3:片脚立位可能の四段階に分けた。また、歩行(平行棒、歩行器、T 字杖)自立度に関しては可否の二段階に分けて評価した。統計は、2 群間の差をMann-Whitney U 検定、χ2 検定にて比較した後、予測関連因子の検討に退院時屋外歩行自立度を目的変数とした多重ロジスティック回帰分析を行った。有意水準は5%未満とした。本研究は本学倫理委員会の承認を受け、ヘルシンキ宣言に則り実施した。

【結果】自立群(29 例)と非自立群(43 例)間において、すべての項目で有意差を認めた。多重ロジスティック回帰分析では、立位時の患肢支持性(オッズ比4.29、95%信頼区間:1.04-4.17)と、寝返り(オッズ比5.16、95%信頼区間:

1.09-3.59)が採択され、判別的中率は75.0%だった。

【考察】大腿骨近位部骨折患者における退院時の屋外歩行自立度は、術後1 週の時点での寝返り動作と患側下肢へ支持する能力が関与していた。寝返り動作は、術後早期から獲得しやすい動作であり、離床する上で必要な動作である。よって、早期から獲得できれば、離床時間にも影響し、退院時までの活動量と関連すると考えた。また、術後早期から患側下肢への荷重量が多いことが、患側の立脚時間を延長し、退院時の屋外歩行能力の安定化に貢献する可能性が示唆された。

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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