関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第38回関東甲信越ブロック理学療法士学会
セッションID: O-008
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口述
腰部脊柱管狭窄症患者における症状重症度と身体および精神機能に関する検討
浦田 龍之介
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抄録

【目的】腰部脊柱管狭窄症(LSS)は疼痛や痺れに伴い歩行障害を呈する退行変性疾患である。LSS患者において、身体および精神機能が著しく低下している患者を多く経験するが、症状重症度との関連を示した報告はない。 本研究の目的はLSS患者の症状重症度と身体および精神機能の関連を明らかにすることである。

【方法】当院でLSSと診断された術前患者51例(女性29例、男性22例、平均年齢68.7±8.8歳)を対象とした。選択基準は脊椎・下肢に手術既往のない独歩可能な者とし、検査に同意が得られた者とした。基本属性(年齢、性別、身長、体重)、罹患年数、VAS(腰痛、殿部下肢痛、殿部下肢痺れ)、Pain catastrophizing scale(PCS)、腰背筋断面積(L4/5 高位の脊柱起立筋群および多裂筋)、脊椎矢状面アライメント(SVA、LL、SS、PT、PI)、股関節屈曲および伸展可動域、膝関節伸展筋力、背筋力、片脚立位時間、10m歩行速度を調査した。本研究では症状特異的評価表であるZurich claudication questionnaire サブスコア重症度得点(ZCQS)を母集団の中央値で重症群と軽症群に分類し、各調査項目を比較検討した。統計解析はカイ二乗検定およびt検定を用い、有意水準はいずれも5%とした。

【倫理的配慮】ヘルシンキ宣言に基づき患者、家族に説明と同意を得て実施した。

【結果】重症群(2.86≧ZCQS)は25名(70.5±8.3歳)、軽症群(ZCQS<2.86)は26名(67.1±9.1歳)であり、基本属性に有意差は認めなかった。VAS(殿部下肢痛、殿部下肢痺れ)、PCS、L4/5高位の多裂筋断面積は二群間に有意な差を認めた。

【考察】LSS患者の症状重症度は精神機能と多裂筋断面積と関連することが明らかとなった。しかし、背筋力や下肢筋力、10m歩行速度などの身体機能はLSSの重症度とは無関係に低下すること明らかとなった。

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© 2019 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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