主催: 公益社団法人日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
会議名: 第38回関東甲信越ブロック理学療法士学会
開催日: 2019/10/26 - 2019/10/27
【目的】呼吸器疾患において、大腿四頭筋の筋力は運動耐容能や日常生活動作(ADL)と関連する。また、急性呼吸不全患者は、炎症や臥床に伴い筋萎縮を伴い易いと報告とされている。本研究は、急性呼吸不全患者における大腿四頭筋の筋厚とADLの関連性を検討した。
【方法】2017年10月〜2019年3月で、当院に入院した急性呼吸不全患者26名(年齢74.9±7.6歳)を対象とした。 疾患は慢性閉塞性肺疾患8名、間質性肺炎12名、非結核性抗酸菌症6名であった。筋厚の測定部位は、先行研究に則り大腿直筋と中間広筋を合わせた筋厚とした。測定機器は、超音波画像診断装置を用いてBモードで撮影した。仰臥位にて股関節中間位・膝伸展位とし、膝蓋骨上縁と上前腸骨棘を結んだ直線の中間点に目印を付け、筋の走行に垂直となるようにプローブを接触させ画像を記録した。ADL評価は、The Nagasaki university Respiratory ADL Questionnaire(以下NRADL)を用いた。すべての評価は入院後一週間以内に行われた。解析について、先行研究のカットオフ値に則りNRADL>50点をADL維持群、NRADL≦50点をADL低下群とし、Mann−Whitney U検定にて群間比較を行った。また、大腿四頭筋筋厚とADLの関連性を確認するためSpearmanの相関係数を用いた。
【倫理的配慮】本研究は、当院倫理審査委員会にて承認の上実施した。
【結果】大腿四頭筋筋厚とADLには中等度の相関を認めた(r=0.43 、p<0.05)。また、ADL低下群で、有意に大腿四頭筋筋厚の低下が認められた(ADL維持群21.4± 3.9mm、ADL低下群11.0±4.8mm、p<0.05)。
【考察】本研究より、大腿四頭筋筋厚とADLにおいて関連性が示された。また、ADL低下群で筋萎縮が顕著となるため、早期より廃用性筋萎縮の予防が必要と考えられた。