関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第38回関東甲信越ブロック理学療法士学会
セッションID: O-012
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口述
急性呼吸不全患者における大腿四頭筋筋厚と日常生活動作の関連性
善田 督史津島 健司角田 亘服部 知洋清藤 晃司小河 裕樹吉田 誠也府川 泰久木戸 聡史丸岡 弘
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抄録

【目的】呼吸器疾患において、大腿四頭筋の筋力は運動耐容能や日常生活動作(ADL)と関連する。また、急性呼吸不全患者は、炎症や臥床に伴い筋萎縮を伴い易いと報告とされている。本研究は、急性呼吸不全患者における大腿四頭筋の筋厚とADLの関連性を検討した。

【方法】2017年10月〜2019年3月で、当院に入院した急性呼吸不全患者26名(年齢74.9±7.6歳)を対象とした。 疾患は慢性閉塞性肺疾患8名、間質性肺炎12名、非結核性抗酸菌症6名であった。筋厚の測定部位は、先行研究に則り大腿直筋と中間広筋を合わせた筋厚とした。測定機器は、超音波画像診断装置を用いてBモードで撮影した。仰臥位にて股関節中間位・膝伸展位とし、膝蓋骨上縁と上前腸骨棘を結んだ直線の中間点に目印を付け、筋の走行に垂直となるようにプローブを接触させ画像を記録した。ADL評価は、The Nagasaki university Respiratory ADL Questionnaire(以下NRADL)を用いた。すべての評価は入院後一週間以内に行われた。解析について、先行研究のカットオフ値に則りNRADL>50点をADL維持群、NRADL≦50点をADL低下群とし、Mann−Whitney U検定にて群間比較を行った。また、大腿四頭筋筋厚とADLの関連性を確認するためSpearmanの相関係数を用いた。

【倫理的配慮】本研究は、当院倫理審査委員会にて承認の上実施した。

【結果】大腿四頭筋筋厚とADLには中等度の相関を認めた(r=0.43 、p<0.05)。また、ADL低下群で、有意に大腿四頭筋筋厚の低下が認められた(ADL維持群21.4± 3.9mm、ADL低下群11.0±4.8mm、p<0.05)。

【考察】本研究より、大腿四頭筋筋厚とADLにおいて関連性が示された。また、ADL低下群で筋萎縮が顕著となるため、早期より廃用性筋萎縮の予防が必要と考えられた。

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© 2019 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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