関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第40回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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口述
O1-4 姿勢推定プログラムOpenpose の臨床応用に向けた取り組み
木村 航汰廣江 圭史田中 和哉吉田 寛
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p. 14-

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抄録

【はじめに】動作解析をする際に三次元動作解析装置を用いる事がある.臨床現場で三次元動作解析装置を使用するには様々な障壁があり,臨床場面での普及に至っていないのが現状である.近年,Openpose というAI による深層学習を用いたソフトウェアが注目されている.Openpose は市販のデジタルカメラなどの動画からウェアラブルな姿勢動作解析が可能なソフトであり,簡便なことから実用性の高さが期待されている.そこで,当院での臨床応用に向けた取り組みについて報告する.なお,本研究はヘルシンキ宣言に基づき,症例に目的および方法を十分に説明し書面にて同意を得た.

【方法】対象は交通外傷による右下肢機能不全,歩行障害に対して長下肢装具を使用している症例とした.計測はデジタルビデオカメラ(Sony 社HDR-CX680)を用い,平行棒内での快適歩行を前額面から撮影した.計測条件は左下肢の補高なし,5mm 補高,10mm 補高の3 条件をそれぞれ3 施行とした.解析はOpenpose を用いて得られた動画データから位置データ,関節角度,仮想重心点の算出をした.算出したデータより各条件での1 歩行周期を切りだし3 条件で比較した.今回は重心側方動揺と体幹の側方傾斜について検討した.

【結果】長下肢装具を使用する患者の歩行であっても,下肢関節点の同定が可能であった.また,補高なしに比べ補高5mm,10mm で,重心の左右動揺と左立脚中期での体幹側方傾斜の改善がみられた.

【考察】Openpose は深層学習を用いて動画内の人物の関節などのキーポイントを認識できる手法である.今回算出したされたデータを用いて,3 条件での変化を捉えることができた.さらに歩行時の重心移動を可視化することができ,視診で確認することのできない重心移動を簡便に可視化できることは臨床的に有用であると考えられる.

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© 2021 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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