関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第40回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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口述
O2-2 陳旧性肘内側側副靭帯損傷後に靭帯再建術(トミージョン手術)を施行したバドミントン選手の1 例
松井 建興大森 章一国司 俊一橋川 拓史寺門 淳
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p. 17-

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抄録

【はじめに】トミージョン手術の後療法は野球選手症例の文献は散見されるがバドミントン選手に関する文献は渉猟しえなかった.今回バドミントン選手のトミージョン手術後症例を経験し,1 年間機能評価と患者立脚型評価を実施したので報告する.尚,ヘルシンキ宣言に基づき本人に説明と同意を得た.

【症例】19 歳女性,左利き.練習中転倒し受傷.保存療法で症状改善せず受傷10 ヶ月後に他院でトミージョン手術を施行した.術前は手尺側痺れがあり,競技レベルは地区大会出場レベルであった. 当院初回受診は術後1 ヶ月であり初回評価は,動作時痛NRS5,痺れなし.可動域は肘屈曲85°伸展-40°,前腕回内45°回外45°.前腕最大周経

21.5/22.5cm,握力24.9/16.7kg.JOA-JES sports score27 点,Quick DASH 機能障害/症状70 点・スポーツ/芸術100

点.術後6 ヶ月より荷重解除,バドミントン復帰し痺れ,疼痛なし.術後10 ヶ月手尺側痺れ,疼痛が出現しNRS3.milking test・moving valgus stress test 陰性,tinel 徴候陽性.これより運動強度調整を実施した.術後12 ヶ月,痺れ消失,バドミントン時NRS1.milking test・moving valgus stress test・tinel 徴候陰性.肘屈曲155°伸展20°,前腕回内90°回外

100°,前腕最大周経21.5/23.5cm,握力28.7/32.9kg であった.JOA-JES sports score75 点, Quick DASH 機能障害/症状5 点・スポーツ/芸術19 点.

【考察】本症例は術後痺れは消失していたが,術後10 ヶ月頃からバドミントン中に再度痺れが出現した.原因として強度を上げすぎたことで肘屈伸運動が多用されたことによる尺骨神経の伸長ストレスが増大した可能性が考えられた.これより運動強度を疼痛,痺れがない範囲まで制限することにより術後12 ヶ月では疼痛,痺れは軽減しレクリエーションレベルまで回復した.尺骨神経障害はトミージョン手術後合併症の中で最も多いものの1つであり,術後合併症にも留意しながらリハビリテーションを実施することが必要であると考える.

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© 2021 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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