主催: 公益社団法人日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
会議名: 第40回関東甲信越ブロック理学療法士学会
開催日: 2021/09/04 - 2021/09/05
p. 190-
【背景】がん患者は悪液質の影響があり,栄養療法を併用した包括的リハビリテーション(リハ)治療の必要性が高い.本症例はリハに加えて管理栄養士が介入し,栄養状態の改善及び日常生活活動が向上した.リハ治療経過について報告する.
【症例】症例は卵巣がんに対し外来化学療法中の70 歳代女性.X 日,自宅内で転倒し腰椎圧迫骨折にて当院へ入院となった.
【経過】硬性コルセットの完成までは床上安静の指示となり,X+2 日からリハを開始した(phase1).X+10 日より立位・歩行練習を中心に運動療法を行った(phase2).X+16 日,化学療法を施行し,以降5 日間は副作用と食事量の減少に伴い積極的な運動療法は控え,補助食品を追加した(phase3).X+22 日,副作用と食事量の改善を確認後,運動強度を上げ,荷重下でのレジスタンストレーニングを中心とした運動療法後に蛋白質補助としてメインを摂取した
(phase4).X+38 日に四点杖歩行,床からの起立,階段昇降が可能となり自宅へ退院した.
【評価】X+2 日目より,phase 毎に体組成および身体機能の評価を行い,併せて血液検査結果と食事摂取量を確認
した.初期評価及びphase 毎に骨格筋指数(SMI)kg/m2)が4.59→4.38→4.54→4.44→4.78,膝関節伸展筋力(N/kg) が2.1→2.7→2.8→2.8→2.6,歩行器での歩行速度(m/s)が不可→0.56→0.73→1.01→0.89 であった.Alb(g/dl)は入院後低下したがphase4 から改善した.
【考察】phase2 では身体機能が改善しており,この時期の負荷量としては適切であったと考える.phase3 では運動強度が低下したが,栄養状態を管理栄養士と共に調整したことで,身体機能の低下を最小限に抑えることができたと考
える.phase4 では,摂取カロリー,蛋白質量共に大幅に増加し,運動強度を増加させたことでSMI が増加した.栄養状態は改善しており,運動療法の継続によりさらなる改善が期待される.
【倫理的配慮】本発表に際し,患者へ十分に説明し,書面にて同意を得た.