関東甲信越ブロック理学療法士学会
Online ISSN : 2187-123X
Print ISSN : 0916-9946
ISSN-L : 0916-9946
第40回関東甲信越ブロック理学療法士学会
会議情報

スペシャルオーラル
SPO-3 介護保険未申請の地域在住高齢者におけるフレイル分類の試み
樋口 大輔田中 繁弥齊田 高介村山 明彦篠原 智行
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 3-

詳細
抄録

【目的】本研究の目的は、介護保険を申請していない地域在住高齢者をフレイルのありさまに基づいてサブグループ化を試み、当該高齢者のフレイル対策の充実に向けた基礎資料を得ることであった。

【方法】ある中核市在住の高齢者に対し、第1 次緊急事態宣言中に実施された調査研究のデータベース(1623 人)から、介護保険を申請しておらず、データ欠損のない1009 人(77.6±6.0 歳;男性253 人・女性756 人)を抽出し、「後期高齢者の質問票」の回答を分析した。日本老年医学会マニュアルに準拠し、質問4・5 をオーラルフレイル

(OF)、質問6~9 を身体的フレイル(PF)、質問10・11 を精神的フレイル(MF)、質問13~15 を社会的フレイル(SF)に相当する質問とした。フレイルを示す回答項目数をフレイル種別ごとに求めた。階層的クラスター分析(ウォード法、ユークリッド距離)で得られたデンドログラムからクラスター数を任意に決定し、各クラスターの特徴を確認した。

【倫理的配慮】高崎健康福祉大学倫理委員会の審査を受け、研究実施の承認を得た(2009号)。対象者が質問紙に回答したことを研究参加の意思表示とみなした。

【結果】デンドログラムの観察により、(1)PF 主体(133 人、13.2%)、(2)MF 主体(73 人、7.2%)、(3)OF 主体(193 人、

9.1%)、(4)SF 主体(74 人、7.3%)、(5)PF・MF 合併(73 人、7.2%)、(6)PF・OF 合併(65 人、6.4%)、(7)MF・OF 合併

(78 人、7.7%)、(8)・(9)フレイル徴候不明確(2 クラスター;178 人、17.6%;142 人、14.1%)の9 クラスターに分類された。PF、MF、OF は、うち2 つが合併して現れる場合があったが、SF は他のフレイルと組み合わされることはなかった。なお、残差分析より(1)は女性が、(4)は男性が有意に多かった。

【結論】介護保険を申請していない地域在住高齢者におけるフレイルの発現型は多様である。ただし、SF は他のフレイルと比べ異質であり、SF に特化した対策の必要性が示唆される。

著者関連情報
© 2021 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
前の記事 次の記事
feedback
Top