関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第40回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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口述
O7-1 下腿切断者におけるHAL 自立支援用単関節タイプの使用経験
加藤 綾華河原 佳希小串 健志
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p. 41-

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抄録

【はじめに】下腿切断者のリハビリテーションでは,切断側の筋力低下や車椅子生活が長く膝関節の自動伸展不全

(以下,extension lag)を呈している症例を経験する.今回,下腿切断者のextension lag に対しsingle-joint type of Hybrid Assistive Limb(以下,HAL-SJ)を使用し角度の改善を認めた症例を経験したので報告する.

【症例紹介】40 歳代前半女性.線路に飛び込み右下肢完全断裂,左下腿不全断裂を受傷.受傷後2 日右大腿切断,左下腿切断及び断端部形成術施行.受傷後66 日当院へ転院.急性期病院から断端部へのシリコンライナー着用.断端部痛,幻肢痛なし.受傷後94 日左下腿義足作成.作成時の左膝関節伸展角度は自動で-8 度,他動で0 度,下肢筋力は徒手筋力計にて計測し左膝関節伸展20.9kgf であった.本人から「膝の伸ばし方がわからない」などの訴えがあり,左膝関節のextension lag に対してHAL-SJ を実施した.

【方法】HAL-SJ はHAL 自立支援用単関節タイプを使用.下腿義足を使用した状態でHAL-SJ を装着し,座位にて足部は床から浮かせた状態とした.HAL-SJ のアシスト量は膝関節最大伸展位まで運動可能な範囲に設定をした.単関節の運動学習訓練を40 分/回,3-4 回/週の頻度で実施し,計7 回,2 週間実施した.実施中はモニター画面を確認し視覚的FB を用いながら訓練を実施した.実施前後で膝関節伸展筋力,座位での膝関節自動伸展角度を測定した.

【説明と同意】本報告は当院倫理員会の承認を得た(承認番号21-001).

【経過】介入後,膝関節伸展筋力は22kgf,左膝関節伸展角度は自動で0 度となった.本人の訴えとしては「伸ばしている感じがする.楽に伸ばせる」などが聞かれた.

【考察】切断側に義足を装着しHAL-SJ を実施したことで切断部分の下腿の動きをイメージでき,運動学習効果を得ることが出来たと考えられる.切断側の運動学習訓練では,義足とHAL-SJ の組み合わせも切断者の訓練の一助となると考えられる.

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