関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第40回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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口述
O7-4 両側人工膝関節全置換術後に大腿骨遠位外側に疼痛が生じた症例を経験して
伊東 恒輝伯川 聡志石渡 正浩深江 航也小倉 征慈
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キーワード: TKA, 超音波エコー, 疼痛
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p. 44-

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抄録

【目的】本邦では、年間約9 万件の人工膝関節全置換術(Total Knee Arthroplasty;以下TKA)が行われている。中でもTKA 術後患者に剥離骨折が生じるケースは稀であり、その治療についてリハビリテーションの観点から検討されている報告は渉猟する限り見当たらない。本症例ではTKA 術後において膝関節を含めた機能は良好であったが、歩行時に疼痛が生じ、疼痛部位は術後早期より骨剥離を認めていた。骨剥離部に対する理学療法評価、治療について報告する。

【症例紹介】70 代女性。術前はT 字杖を用いて歩行は自立しており、農業や酪農に従事していた。変形性膝関節症発症し左膝関節痛出現。およそ10 年後に両TKA 施行。術後4 週、リハビリ目的に回復期病院である当院へ転院となった。

【倫理的配慮】発表に際し、ヘルシンキ宣言に基づき症例には内容を十分に説明し書面にて同意を得た。また。当院倫理委員会にて承認を受けている。

【経過】当院転院時、歩行は両T 字杖で自立しており、疼痛無く可能であった。術後6 週より歩行時に大腿遠位部にNumerical Rating Scale(以下NRS)8 程度の疼痛あり。前医のX 線画像より左大腿骨外側顆付近に骨剥離を確認した。理学療法介入は超音波エコーを用い、疼痛との関連を調べた。特に座位にて股関節内旋位での膝関節伸展動作時に外側広筋を優位に収縮させると骨剥離の僅かな動きを認めた為、剥離骨の動きを確認しながら、運動療法を展開し、疼痛のコントロールを行うことに努めた。術後7 週では、独歩可能となり、疼痛はNRS2 と軽快した。

【結論】TKA 術後患者において骨剥離が生じた症例を経験した。TKA 施行後に骨剥離による疼痛が生じるという稀な症例に対し疼痛のコントロールを工夫して介入することで疼痛は軽快し、独歩での退院が可能となった。

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