抄録
【目的】
ストレス対処力Sense of Coherence(以下,SOC)は,スト
レスに上手く対処する事で心身の健康を守り「健康への力」とされて
いる.SOC はセルフケアとして重要で,新卒看護師のメンタルヘ
ルス対策として組織風土を高めることがSOCを向上させる,また
作業療法士を対象とした調査でもSOCは良好な職場風土から形成
されると報告がある.職場風土はSOCを向上させるために重要で,
職場風土良好度としての4 因子が評価指標となり,職種に変わらず
活用できることが報告されている.そこで,リハビリテーション
(以下,リハ)職の職場風土良好度の4因子とSOC の影響を調査
することを目的とした.
【方法】
対象者は,東京都内のグループ医療法人のリハ専門職129名である.
方法は,2023年4月1日~22日の期間にGoogle forms を
使用しアンケート調査を実施した.アンケートの内容は,個人属性
として年齢,性別,既婚,職種,職位,職務年数,最終学歴,転職
やリハ職以外の仕事の経験を調査した.山崎らが作成した,SOC
日本語版13項目SOC スケールを使用し7件法(1. まったくない,
から7.とてもよくある)と職場風土は職場風土良好度尺度を活用し
4件法(1.まったくあてはまらない,から4.あてはまる)を使用した.
統計学的検討は,EZR を用いて正規性を確認しSpearman's の
検定を行った.有意水準はP<0.05とした.
【結果】
SOCと職場風土良好度は正の相関(r=0.36)を示した.SOCと職
場風土良好度の4因子は,役割目標の明確さ(r=0.31),心理的報酬
(r=0.35),信頼と協力(r=0.28),自己表出(r=0.25)であった.
SOC 高値群は心理的報酬(r=0.34),信頼と協力(r=0.28),SOC
低値群は役割目標の明確さ(r=0.24)のみであった.
【考察】
職場職場風土良好度の4因子は職種によらず同じ程度で関連すると
報告があり,SOC の高低には因子数の違いと特性が影響している
と示唆された.因子の特性を踏まえた組織運営が重要で,更に検証
が必要である.
【倫理的配慮,説明と同意】
本研究は,花と森の東京病院の倫理審査委員会の承認 (2023年
3月8日) を得た.対象者には,研究の説明と同意書,倫理審査委員会
の承認の説明を行い,協力依頼をメールにて送付し,回答による同意
を得て実施した.