関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第42回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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一般演題
テント下病変による軽症な運動失調を呈した脳卒中患者に対する回復期リハビリテーションの特性-SAM-S
岡野 裕樹
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p. P-082-

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抄録
【目的】 脳卒中によって生じる運動失調は,軽症例に限定したリハビリテー ションの経過報告は少ない.そのため今回,脳卒中により軽症な 運動失調を呈した患者に対するリハビリテーションの経過を検討 することを目的とした. 【方法】 対象は2020年6月から2023年3月に共同研究3施設の回復期 リハビリテーション病棟に入棟したテント下病変の脳卒中患者で, Brunnstrom stageⅤ以上の94名とした.対象例から,前院の 入院期間が60日以上,急変例,整形疾患に伴う痛みを有する者, 病前mRS3以上,認知機能,高次脳機能障害により測定が困難な もの,データ欠損例を除外した.解析対象は,入院時のScale for the Assessment and Rating of Ataxia(SARA)10点以下の 軽症群(31名)とした.入院中の理学療法は,体幹と四肢の協調運 動,バランス,歩行練習による包括的介入を週7日,40-60分/ 日,実施した.入院時と4週間後の,SARA,Trunk Control Test (TCT),Berg Balance Scale(BBS),Mini-Balance Evaluation System Test(Mini-BESTest),10m歩行速度を比較検討した. 解析は,対応のあるt検定にて連続変数を比較し,カイ二乗検定を 使用してカテゴリ変数を比較した.また,各測定項目の効果量を 算出した.解析ソフトはIBM社SPSS 29を用い,有意水準を5% とした. 【結果】 各項目の平均値を入院時,4週間後の順に示す.SARA(点):6.6 →2.9,TCT(点):87.5→95.8,BBS(点):33.9→44.8,MiniBESTest(点):9.8→17.5,歩行速度(m/sec):0.7→0.9となった. 効果量は,SARA,BBS,Mini-BESTestが0.8以上の効果量と なった. 【考察】 本研究の結果より,運動失調,各運動機能は有意に改善した. SARA,BBS,Mini-BESTestは立位を伴うバランス機能の改善 を示した.脳卒中の発症後90日は機能改善が大きいとされるが, 軽症例も経過に伴い運動失調やバランス能力が改善したため,早期 からリハビリを行うことは重要であると考える. 【倫理的配慮,説明と同意】 本研究は各研究参加施設の倫理委員会の承認を受け実施した.対象 者または家族には,事前に口頭および書面で説明し同意を得た.
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© 2023 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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