関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第43回関東甲信越ブロック理学療法士学会 ・ 第30回千葉県理学療法学術大会 合同大会
セッションID: P2-6-3
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一般演題
前足部の内がえし・外がえし誘導が片脚立位の重心動揺に与える影響
*押久保 美帆江戸 優裕
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キーワード: 前足部, 片脚立位, 重心動揺
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抄録
【はじめに,目的】 片脚立位はバランス能力を評価するために行われることが多く転 倒リスクや歩行能力との関連も示されている(津田ら.2019).片 脚立位と足部機能に関する先行研究では,後足部アライメント(小 林ら.2009・佐野ら.2011)や足関節内反捻挫後の不安定性(鈴 木ら.2014)に着目したものが散見されるが,左右差や前足部の 影響については検討の余地がある.そこで本研究では片脚立位バ ランスを前足部のテーピング誘導により制御できるか否かについ て,左右差を踏まえて明らかにすることを目的とした. 【方法】 対象は健常成人13名(女性11名・男性2名,年齢20.8±0.7歳)と した.計測には重心動揺計(アニマ.GP-6000.20Hz)を使用し 30秒間の片脚立位を両側実施した.計測条件は誘導なし(裸足条 件),キネシオテープ(ニトムズ.NK-50)による立脚側前足部の外 がえし誘導(外がえし条件)と内がえし誘導(内がえし条件)の3条件 とした.解析項目は総軌跡長,外周面積,左右・前後の動揺平均 中心変位とし,条件間比較には反復測定の分散分析と多重比較検 定,同条件での左右比較には対応のあるt検定を行った(p=0.05). 【倫理的配慮,説明と同意】 対象者には研究の目的や方法を書面と口頭で説明し書面で同意を 得た.なお,本研究は研究実施機関の倫理審査委員会の承認済 みである(承認番号:2024-13) 【結果】 各項目の条件間比較の結果,左足の前後動揺平均中心変位は裸 足条件(-0.91±1.30cm)よりも内がえし条件(-1.43±1.19cm)が 有意に後方に位置した.また,同条件での左右比較の結果,裸 足条件の外周面積は右足(4.29±1.15cm2)よりも左足(5.29± 1.81cm2)が有意に大きかった. 【考察】 足部の剛性は距骨下関節の肢位により変化し,距骨下関節外がえ し位では剛性が低下する(Seibel, 1996).そして,健常若年者で は左後足部の方が右よりも外がえし位にある者が多いことから(小 林ら.弐009),本研究においても左足部の剛性が低い対象者が 多く,左片脚立位の方が右片脚立位よりも重心動揺が大きかった と推察される. また,足部への荷重下では後足部内/外がえしと前足部内/外が えしは相反することから(山口ら.2009),前足部の内がえし誘導 は後足部に対して外がえしの作用を有する可能性がある.このた め,左前足部内がえし条件では足部の剛性が一層低下し,足部が テコとして作用せず左片脚立位では重心が後方化したと推察され る.
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© 2024 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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