抄録
【目的】
当院の理学療法(以下PT)処方基準は,在胎29週未満,出生体
重800g未満,脳室内出血(以下IVH),脳室周囲白質軟化症(以
下PVL),先天性疾患,慢性肺疾患(以下CLD)の他,鎮静が付き
にくいなどで相談があった児に対してスクリーニングを実施し,PT
処方を検討することとしている.近年スクリーニングが実施できて
いない状況があり,処方の傾向を把握し基準見直しの一助とする
ことを目的に調査を実施した.
【方法】
2021年1月~ 2022年1月までに当院のNICU,GCUに入院した
全児を対象とし,カルテ情報から後方視的に調査した.調査項目
は在胎日数/出生体重/退院時体重/口唇口蓋裂/咽頭・喉頭軟
化症/気道狭窄症/呼吸窮迫症候群(以下RDS)/胎便吸引症候
群(以下MAS)/肺の低形成/ CLD /一過性多呼吸(以下TTN)/
無呼吸/呼吸デバイス使用の有無と使用期間/先天性疾患(染色
体異常,心疾患)/ IVH / PVL /視力,聴力,消化管障害/哺
乳開始日齢とした.PT処方群と非処方群の2群に分け各項目にお
いて対応のないt検定を行なった.
【倫理的配慮】
当院倫理委員会の承認を得て実施した.
【結果】
全対象513例のうちPT処方は47例であった.現行の処方基準で
PT処方があったのは出生体重800g未満11/11例,在胎29週未満
16/17例,IVHで2/3例,PVL5/9例,染色体異常3/5例,心疾
患20/95例,CLDで10/10例であり,概ね処方基準通りに処方が
あり,処方基準外での処方は15例であった.群間比較ではPVL,
咽頭・喉頭軟化症,気道狭窄症,MAS,肺の低形成,CLD,
TTN,無呼吸,在胎日数,哺乳開始日齢で有意差を認めた(p<
0. 05).
【考察】
PT処方群における呼吸障害保有率は95%で,呼吸障害を有する
ことで自律神経系が安定せず,鎮静の付きにくさからPT処方に繋
がっている可能性が考えられ,以前スクリーニングの対象となって
いた要因を反映しているのではないかと考える.スクリーニングが
実施できていない現状では,呼吸障害に関してはCLDのみでなく,
咽頭・喉頭軟化症,気道狭窄症,MAS,肺の低形成,TTN,無
呼吸も処方基準の項目に追加を検討する必要性がある.