関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第43回関東甲信越ブロック理学療法士学会 ・ 第30回千葉県理学療法学術大会 合同大会
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一般演題
大学生における関節弛緩性とスポーツ傷害の関係
-部位および損傷組織を踏まえた検討-
*江戸 優裕菊池 咲葵松尾 真輔島田 美恵子
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p. 191-

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抄録
【はじめに,目的】 関節弛緩性(JL:Joint Laxity)はメディカルチェックの項目として 一般的であるが,スポーツ傷害との関係については否定的な報告 も散見される(北堀.2019;河原.2010).見解が分かれる一要 因として,身体の部位や損傷組織を踏まえた検討がなされていな い点がある. そこで, 本研究ではJLとスポーツ傷害の既往歴(PH:Past History)との関係を部位別・損傷組織別に明らかにすることを目 的とした. 【方法】 対象は一般的な大学生399名(平均年齢19.8±1.4歳:男性181名・ 女性218名)であった. JLは東大式JLテスト(中嶋.1984)で評価した.手・肘・肩・膝・ 足は左右各0.5点,脊柱・股は1点とし,合計点をJLスコアとした. PHは過去5年間にスポーツ中に受傷したものをアンケートで収集 した.姫野の報告(2016)を基に損傷組織別(骨・関節・筋・その他) に分類し,各回数を求めた(PH回数). JLスコアとPH回数は部位別(上肢・下肢・体幹)でも集計し,相関 分析と群間比較を行った(有意水準5%). 【倫理的配慮,説明と同意】 本研究はヘルシンキ宣言に従い,研究機関の倫理委員会の承認後 (No. 2022-26)に実施した.対象者には研究内容の説明後,書 面で同意を得た. 【結果】 JLスコアは男性より女性で高かったが(男:1.8±1.4 /女:2.7±1.5 点),部位別では下肢のみ有意な性差がなかった.PHは対象者全 体で延べ799件(Mdn=1,IQR=3)あり,足関節捻挫(270件)が 最多だった. 年齢・性別を制御したJLスコアとPH回数の偏相関分析の結果, いずれの項目にも明らかな相関を認めなかった(|r|≒0.1). JL有無・年代・性別を要因としたPH回数の3元配置分散分析の 結果,骨損傷はJL無し群で多く(無:0.3±0.7/有:0.1±0.5件), 体幹の骨損傷は男性で多かった. 【考察】 JLが男性より女性で高いことは多くの先行研究(Quatman. 2008)を追認したが,下肢には明らかな性差がないことは新知見 であった.PHの発生状況は大学スポーツ協会の報告(2022)と概 ね一致した. JLスコアとPH回数の相関はいずれの部位・組織でも認めなかった ものの,骨損傷はJL無し群で多かった.このことから,JLが低い と骨に力学的負荷が集中しやすい可能性は無視できないが,因果 関係や体幹損傷の性差は受傷機転を踏まえた慎重な議論が必要 である.また,JLに筋タイトネスが併存することを問題視する報 告もあるため(菊池.2024),今後より多角的な検討が期待される.
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© 2024 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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