理学療法の基礎と臨床
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巻頭言
学修の継続と可視化
小林 大介
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2022 年 3 巻 p. 1

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抄録

 令和4年を迎え,コロナ禍後の学修について「コロナ禍前の対面式以外にも,遠隔の学修を継続するべきでないか」などの議論が開始され始まったところでありますが,令和4年1月中旬を過ぎて,国内の新型コロナウイルス感染症の新規患者数が急激に増加し,議論が一時停止しています.この状況においても,臨床の現場で働く理学療法士は,対象の患者に対して効果的な理学療法を実践しながら,リカレント教育を継続している姿が見受けられます.改めて,理学療法士のプロフェッションに敬意を評します.
 さて,コロナ禍において,我々はリカレント教育の重要性を再認識したと同時に,以前よりも短縮傾向にある学修時間の中で,如何に効果的な学修を実践するのかということに難しさを感じているのではないでしょうか.しかし今にして振り返ってみますと,コロナ禍以前の学びでは,学会に参加して,新しい知見にふれながら,ある程度の柔軟な時間の中で発表者と交流を深めることが可能であり,それが次の学びに活かされていたことに気付かされます.私自身も大学に籍を置かせて頂いている者として,数年ぶりに鼓舞分銅し,国際学会(開催:ドバイ)で諸外国の理学療法士と交流を深める予定でしたが,オンラインでの発表となり,非常に限られた時間での交流を体験しました.やはり,コロナ禍の学修に慣れるということ以外に“学修効果を如何にして得るべきか”ということに新たな障壁を感じているところであります.
 我々理学療法士にとって,対象者のためになる科学的根拠に基づく実践が重要であることは疑う余地がないことであって,学修効果を得るための多様な方法が有って良いということも多くの方々に共感していただけるのではないでしょうか.ただし,効果的な学修とは何かということを問いただされますと,教育理論や学修成果の可視化に着目がなされがちです.我々は,“Words Have Power, Words Are Power, Words Could Be Your Power Also”1)(言葉には力がある,言葉は力である,言葉はあなたの力にもなる)ということ失念していないでしょうか.時に,比較してはならない2つの要因を誤って比較し, 誤解を自ら生産してしまうことがあります.つまり,実践だけが重要であると誤認されることがあります.そして,実践の前に,理学療法を忘れてしまうこともあるかと思いますが,良文から学ぶ姿勢を大切に継続しなければならないのではないでしょうか.その手がかりとして,アンブレラ・レビューやシステマティック・レビューを手に取り,学ぶということに限らず,経験学修モデルの実践者として,症例から学び続ける姿勢ということも肝要なことになるかと思います.
 最後になりますが,理学療法士がプロフェッショナリズムを真摯に実践し,理想を追い続けることこそが,理学療法実践の文化を醸成していくことであり,教育現場に身を置く側として,これらを後進に伝えていくことが責務と考えます.

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© 2022 心身解析研究会
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