公共政策研究
Online ISSN : 2434-5180
Print ISSN : 2186-5868
I 公共政策とソーシャルインパクト
ソーシャル・インパクトの評価可能性とガバナンス―SIBへの期待と懸念も含めて―
長峯 純一
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2015 年 15 巻 p. 51-63

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抄録

ソーシャル・サービスヘの社会的ニーズの高まりを背景に,社会的事業やサードセクターの活動や貢献が重要になっており,その経済的な価値を評価することを意図したソーシャル・インパクトという概念が定着しつつある。本稿は,このソーシャル・インパクトを評価するための社会的投資収益(SROI)という概念の意味を,費用便益分析の中の内部収益率という考え方と比較しながら解釈する。社会的事業の成果を社会的投資収益として貨幣価値評価をすることの意義を検討すると共に,それには困難と限界があることを指摘する。次いで,ソーシャル・インパクト活動を実践するアイディアとして注目されているソーシャル・インパクト債(SIB)の事例を取り上げ,その概念とスキームを整理し,SIBに指摘されているメリットとデメリットを比較検討する。ここでも事業の成果(アウトカムとインパクト)を評価することが,SIBのスキームを機能させる上で重要な意味を持つことを確認する。同時に,アウトカムの評価において政府の失敗が起きる可能性を指摘し,SIBスキームの中で共謀や結託が起きないよう,より広いスキームからガバナンスの体制を考えることが重要であると主張する。

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© 2015 日本公共政策学会
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