公共政策研究
Online ISSN : 2434-5180
Print ISSN : 2186-5868
特集公共政策と民意
公務員の対応,サービスの業績,市民の満足度
野田 遊
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2016 年 16 巻 p. 33-45

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抄録

いまや多くの自治体で市民満足度のデータを収集し,政策形成に活用している。その際の前提は,サービスの業績(または公務員の対応)が改善すれば,満足度(または業績)も比例的に上昇するというものである。このことは果たして正確であろうか。本研究は,公務員の対応がサービスの業績にどのように影響を与え,それが市民満足度にいかに影響を与えるかを検討したものである。大きく2つの部分に分かれる。前半は,満足度研究のこれまでの議論をふまえた変数間の整理であり,本研究が注目する三つの変数の関係を再確認する。後半は,公共政策分野の満足度研究が注目してこなかった非線形の手法の検討とデータを用いた検証結果の部分である。業績(対応)向上による満足度(業績)上昇の線形関係が適切かどうかを吟味する。満足度研究と密接にかかわる「政府に対する信頼研究」においても変数間の非線形の関係にはあまり注目していない。本稿ではマーケティング分野の満足度研究の手法を手がかりに非線形ケースを分析し,サービスの業績や公務員の対応に対する評価の低い層において,線形ケースが「業績(対応)変化による満足度(業績)変化の傾き」を過小評価(加えて業績に関しては高い層において過大評価)している可能性を析出した。最後にこうした過小(過大)評価をふまえたとき,政策の対象とその接し方をどのように考えるべきかについて検討した。

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© 2016 日本公共政策学会
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