公共政策研究
Online ISSN : 2434-5180
Print ISSN : 2186-5868
特集公共政策と民意
政策評価と民意
窪田 好男
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 16 巻 p. 46-58

詳細
抄録

政策評価と民意の関係について政策評価論ではこれまで議論はあまり行われてこなかった。しかし両者は,どちらも公共政策や公共政策決定システムに影響を及ぼすものとして実は関係がある。政策評価と民意の関わりがどうなっているのか,どうあるべきかを考えることが本稿の目的である。政策評価の手法は政策の価値を明らかにしようとするタイプと,それは意図せず政策がプログラム・セオリー通りに実施されたのか,必要性はあるのかを明らかにしようとするタイプがある。前者については費用便益分析や費用有効性分析,後者についてはプログラム評価や業績測定,事業仕分けなどの手法が開発され国や地方自治体で制度化されてきたが,いずれも民意による政策評価を意図するものではなかった。しかし,実務には民意による政策評価への期待もあり,それも関わってか,市民参加の自治体評価制度ともいうべき,何らかの形で市民と関わりを持つ政策評価の制度を試みる動きがある。本稿ではそうした動きとして京都市政策評価制度,進化した事業仕分け,青森県政策マーケティングを取り上げ検討し,民意による評価そのものと言える政策評価の手法や制度はなく,市民が持つ情報を政策形成や政策評価に活用しようという手法や制度がほとんどであり,政策評価はその評価結果が清報として民意の形成に資するものであると結論する。

著者関連情報
© 2016 日本公共政策学会
前の記事 次の記事
feedback
Top