公共政策研究
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Print ISSN : 2186-5868
研究ノート
市民参加像の再考:コントロール理論と公共閥
高橋 克紀
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2002 年 2 巻 p. 177-186

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抄録

公共政策への市民参加は,社会問題の集合的コントロールであると考えられる。本稿は,市民参加を規範主義的に捉えるのではなく,社会的コントロール理論を応用して,社会関係を形成するさまざまなコントロールをバランスさせなおす働きとして捉える。「市民社会」が成立したかどうかではなく,人々が具体的な問題をどうコントロールするのかに関心を向けるのである。

もっとも,市民社会概念も変質を見せている。市民社会は非営利活動や親密な共同性から構築されるとされ,国家の定義する公共性や市場メカニズムに対抗する活動への参加を呼びかけている。しかし,市民社会や公共性は国家的権力と切離すことはできず,市民参加の対抗性を強調するのは限界がある。社会生活の分析は,公式・非公式な制度に某づいた作用と,それを通して制度を再編しようとする意味世界に碁づいた行為に目を向ける必要がある。そこで,ある種のコントロールに頼るのではなく,コントロールの連結によって人々が自主性を確保できるようなバランス化が望まれる。

本稿は,こうした視角を公共政策学に接続することを試みるべく,70年代と今日の市民参加概念のポイントを確認する。これらの議論では今日求められている市民参加の様相が把握しづらいため,社会的コントロール理論の有効性を検討する。

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© 2002 日本公共政策学会
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