2004 年 4 巻 p. 71-82
市民参加の潮流と政府・自治体の財政状況の悪化を受けて,NPOをはじめとする非営利セクターが政策過程へかかわる機会が増えてきている。そのとき重要になるのが,NPOのアカウンクビリティである。本論では,市民参画の新しい場面としてクローズアップされている評価にかかわるNPOのアカウンタビリティについて考察するものである。
評価にかかわるNPOのアカウンクビリティは,2つの視点から幣理できる。1つは評価プロセスに某づく視点であり,もう1つはNPOの制度,組織および活動形態に基づく視点である。評価プロセスに基づく視点では,評価の「設計」「測定」「判定」「判断(選択,決定)」のどの段階にかかわるかによって,アカウンタビリティの内容や性質が変化する。一方,NPOの制度や組織,活動形態に甚づく視点では,組織がもつ公益性と運営に欠かせない経営技術,設立および活動の基本となる社員ならびに資金提供者の自由意志と主体性から,アカウンクビリディの内容や性質が変化する。それらは,NPOの関与が受動的立場か能動的立場か,あるいは消極的か積極的かによって,問責の度合いも変化し,時にはそれらが交錯する事態さえ起こり得るのである。
評価にかかわるNPOには,こうした多様なアカウンクビリティが存在し,それらを果たすことで関与の正当性を担保できるし結果の合理性も確保できると考えられ,公共サービスの主体が多元化する中でNPOのアカウンタビリティは重要性を増すものと考えられる。