公共政策研究
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論文
競争入札の有効性――情報システム調逹入札における事業者の戦略的行動の定量的分析――
福井 秀樹
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2006 年 6 巻 p. 113-124

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抄録

本稿は,競争人札における事業者の戦略的行動の経済的効果を定量的に分析する。

談合などがなく正常に入札が行われた場合でも,その背後で事業者が採る戦略的行動により競争入札の有効性が損なわれうることは,つとに指摘されてきた。だが,その経済的効果については経験的分析が十分に積み重ねられていない.そのため,競争入札における事業者の戦略的行動により経済的損失がもたらされているのか否かについては,不明な部分が多い。

そこで本稿は,政府の情報システム調逹入札を素材として,競争入札における事業者の戦略的行動の経済的効果を定量的に分析した。その結果,事業者の戦略的行動が少なからぬ経済的損失をもたらしていること,そして,競争入札の有効性を高めるには,単に入札過程での競争圧力を増大させる工夫だけでなく,事業者の戦略的行動を抑制する制度的工夫も必要であることが明らかとなった。

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