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TQMの将来-北米の展望
Glenn MAZUR
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1996 年 26 巻 2 号 p. 10-19

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抄録
20世紀も終りが近き現代組織は新しい技術,新しい顧客,新しい競争相手,規則そして資源制約等からの膨大なプレッシャーに直面している.さらに,急速な情報技術の進展によりマネジメントや品質に対する要請の急速に変化している.本稿では,日本的TQCとその北米アプローチを比較することにより,両者の強さと弱点について考察している.北米では80年代のカイゼン,QCサークル,QFD,そして90年代の方針管理の導入により,自動車産業を中心に製造業の競争力を回復した.しかしながら,日本的TQCの部品としてのQFDや方針管理の活用は広く普及しているものの,全社を巻き込むシスティマティックな取り組みにはなっていない.それは経営者がTQMを品質の活動であり,マネジメントの活動と見なしていないことが大きく原因しているのである.その結果,TQMに代わる北米アプローチとして様々な方法が用いられている.そのひとつがISO9000を米国流にカスタマイズしたQS9000である.これにはQFDや田口メソッドのような日本的方法の活用が指定されている.また,よく知られているリエンジニアリング(BRP)や変更管理マネジメント(CM)もそうだし,最近でな"ラーニング・オーガナイゼション"(Peter Senge), "原則中心リーダーシップ"(Stephen Covey),"制約の理論(TOQ)"(Eliyabu M. Goldratt)等の新しい提唱もある.現在よりましてこれからは組織はフラット化し,情報技術をフル活用したプロジェクトベースの仕事の仕方により変化していくであろう.そのような時代に使う情報の品質を保証するためのトータル品質情報マネジメント(TQIM)と呼ぶべき取り組みが不可欠になってこよう.
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© 1996 一般社団法人 日本品質管理学会
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