2009 年 58 巻 4 号 p. 129-143
世界各地の火山から噴出するマグマの多くにU系列核種間に放射非平衡が生じていることが観測されている。伊豆弧の伊豆大島や富士火山などから噴出した玄武岩質噴出物中では,230Th<238Uや226Ra>230Thの非平衡が観測され,マグマの発生時に沈み込むプレートからUやRaに富む水を主体とする流体がマントルに付け加えられ非平衡が生じたものと考えられる。噴出時に226Ra>230Thの非平衡が噴出物中に存在することから,マグマの発生時点から噴出までの時間は8000年以内であろうと推定される。