RADIOISOTOPES
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原著
X線照射後のイメージングプレートに生ずる消去不全現象とその特性
大内 浩子近藤 泰洋加賀 勇治阿部 美津也
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ジャーナル オープンアクセス

2010 年 59 巻 1 号 p. 1-10

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抄録

X線を過照射したイメージングプレート(IP)では,可視光を長時間照射しても潜像が消去されずに残る消去不全現象が観察される。消去不全光が輝尽発光(Photo-Stimulated Luminescence,PSL)であることを検証し,深い準位に捕獲された電子とその励起モデルを考案した。深い準位に捕獲された電子のうち長波長側に広がるすそ野が消去不全光の原因と考えられる。3種類の汎用されている市販IP(BAS-TR, BAS-MS, 及びST-VI)に線量を変えてX線を照射し,消去前と可視光による消去後の線量応答性を調べた。全ての種類のIPにおいて,線量に対してPSL密度が直線的な相関関係を持つことなど消去前後で線量応答性は同じであったが,消去不全光ではPSL密度値は著しく低い。これらの結果より,深い準位のセンターはFセンターに競合するトラップサイトとして働くが,電子の捕獲断面積はFセンターよりかなり小さいことが示唆された。

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© 2010 by Japan Radioisotope Association
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