RADIOISOTOPES
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中性子回折の基礎と応用
(応用4)中性子回折法によるイオン伝導性セラミック材料の結晶構造解析
八島 正知
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ジャーナル オープンアクセス

2010 年 59 巻 3 号 p. 201-210

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抄録

燃料電池,ガスセンサー,触媒,電池など様々な応用において重要であるイオン伝導体及びイオンー電子混合伝導体の結晶構造とイオンの拡散経路について解説する。α-AgIは可動Agイオンの多くの占有位置を有する。βアルミナはNaイオンの二次元拡散を示す。セリア固溶体Ce0.93Y0.07O1.96,酸化ビスマス固溶体δ-Bi1.4Yb0.6O3,ヨウ化銅CuIのような蛍石型超イオン伝導体では〈100〉方向に沿った類似の曲線的な拡散経路が観察される。ガリウム酸ランタン固溶体やコバルト酸ランタン固溶体のような立方ABO3ペロブスカイト型構造を有するイオン伝導体では,B陽イオンとO2-陰イオン間の距離をある程度保ちながら曲がった線に沿って可動イオンが拡散する。二重ペロブスカイト型La0.64Ti0.92Nb0.08O2.99,K2NiF4型(Pr0.9La0.1)2(Ni0.74Cu0.21Ga0.05)O4+δ及びアパタイト型La9.69(Si5.70Mg0.30)O26.24の構造と拡散経路を記述する。リチウムイオン伝導体La0.62Li0.16TiO3とLi0.6FePO4の構造と拡散経路についても考察する。La0.62Li0.16TiO3とLi0.6FePO4の拡散経路はそれぞれ二次及び一次元的である。

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