RADIOISOTOPES
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中性子回折の基礎と応用
(応用8)粉末中性子回折による強誘電体の氷の研究
―宇宙進化の謎解明を目指して―
深澤 裕
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ジャーナル オープンアクセス

2010 年 59 巻 3 号 p. 239-247

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抄録

氷はありふれていながらも興味深い性質を持つ物質である。氷の水素の配置が秩序化すれば,普通の氷と異なり,電荷に偏りを持つ強誘電体になる。強誘電体の氷は,万有引力よりはるかに強い電気的な力があり,宇宙での物質進化や惑星形成を促進すると考えられる。最近,粉末中性子回折の実験から,強誘電体の氷が発生する温度と圧力,成長に要する時間等を明らかにした。その結果に基づいて,冥王星などの天体に,表面から内部にかけて強誘電体の氷が大量に存在するとの仮説を提案した。更に,この仮説の実証に必要な観測方法を考案した。

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© 2010 by Japan Radioisotope Association
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