RADIOISOTOPES
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中性子回折の基礎と応用(応用13)
中性子回折による非晶質合金と水素吸蔵非晶質合金の構造解析
福永 俊晴
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ジャーナル オープンアクセス

2010 年 59 巻 5 号 p. 341-354

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抄録

非晶質合金や水素吸蔵非晶質合金の研究は中性子回折やX線回折の特徴を活用し,かつ回折データを基にしたリバースモンテカルロ(RMC)法を用いて3次元原子配列を導き出して進められている。特に非晶質合金では非晶質の安定性と構造の関係を明らかにするために,安定性の異なるNi-Zr並びにCu-Zr非晶質合金の構造の特徴の違いが調べられた。その結果,Ni-Zr非晶質合金には三角プリズム構造ユニットが多く存在するが,Cu-Zr非晶質合金には二十面体構造ユニットが多く存在することが明らかになっている。更に,Ni-Zr非晶質合金に第3添加元素としてAlを添加すると安定化が増すが,構造学的にはAl添加により三角プリズム構造が減少し,二十面体構造が増加することが明らかにされた。これらの結果は非晶質構造の安定化には二十面体構造が大きな役割を果たしていることを示している。また,中性子回折は水素吸蔵合金中に存在する水素を観察する手段として適している。この特徴を使って,TbFe2とTbNi2水素吸蔵合金の水素の位置を観察した結果,吸蔵された98%の水素は金属原子が形成する四面体の中に位置しており,それが非晶質構造を安定化させている要因であると推察される。

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