2010 年 59 巻 5 号 p. 355-366
パルス中性子では,広い逆格子空間の散乱パターンを飛行時間法により効率よく測定できることから,その散乱パターンをフーリエ変換することで,実空間での2体分布関数(対相関関数)を正確に求めることができる。その特徴を利用して,周期構造を持たないアモルファスの構造から結晶性の物質の構造まで,幅広く物質の構造解析に用いられる。更に,その中間に存在する乱れた結晶性物質やナノ物質の構造解析も可能である。ここでは構造の乱れとその物性との関わりについて,最近の研究例を含めて紹介する。