2011 年 60 巻 2 号 p. 89-97
蛋白質結晶構造解析用の新型中性子回折装置である茨城県生命物質構造解析装置(iBIX)が大強度陽子加速器施設(J-PARC)の次世代中性子源に建設され,2008年12月から本格運転を開始した。2009年度には,14台の検出器,データ処理ソフトウェアの基本的な部分,20Kまでの低温吹付装置が利用可能となり,有機物標準結晶の測定及び構造解析に成功した。2009年12月からの120kW加速器運転より,産業界ユーザーの試料を含む複数の無機,有機化合物そして蛋白質結晶の構造解析用中性子測定がなされ,そのうちいくつかは水素や水和水の位置がわかる程度まで構造解析が進んでいる。