RADIOISOTOPES
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総説
焦電結晶の応用―安全なX線源
河合 潤中江 保一弘 栄介井田 博之
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2011 年 60 巻 6 号 p. 249-263

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抄録

弱いX線なら電子ライターを用いても簡単に発生させられることを説明し,帯電によるX線発生方法の研究の歴史を総合的に解説した。関連特許の新規性についてもコメントした。焦電結晶によるX線の発生,焦電結晶の直列接続,粘着テープの剥離によるX線発生,PIXE研究との関連,焦電結晶による核融合などについて説明し,手の平に載るEPMAが自作できることや,蛍光X線分析装置が自作できることを説明した。乾電池式焦電結晶X線管の蛍光X線分析への応用例として,皮のなめし剤,朱肉,塩化ビニル,コップ,鉄鋼,塗料の例などについて説明し,前処理なしの蛍光X線分析なら180ppm,試料前処理と組み合わせれば0.1ppmまで分析できることを説明した。X線分析装置全般に現在小型化が進んでおり,数ワットの蛍光X線装置でもSPring-8に匹敵する分析感度を達成していることについても説明した。高電圧がかかっている場所が真空度の条件を満たすときには,X線が発生する危険性がある点についても言及した。

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