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核医学検査における安全管理等に関するアンケート調査報告 第9報―I
社団法人 日本アイソトープ協会 医学・薬学部会  核医学イメージング・検査技術専門委員会
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ジャーナル オープンアクセス

2011 年 60 巻 7 号 p. 281-297

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抄録

日本アイソトープ協会医学・薬学部会核医学イメージング・検査技術専門委員会では,核医学検査時の事故発生の情報共有を通して核医学検査の安全確保を向上させることを目的に,1986年から3年ごとに調査を行っており,2010年に第9回調査を行った。全国の医療機関1288施設及び衛生検査所14施設の計1302施設を対象とし,1016施設(回収率78.0%)から回答が寄せられた。
核医学検査従事者総数は5894人で,女性1468人 24.9%,50歳代以上1207人 20.5%であり,医療機関従事者は5664人で,女性1326人 23.4%,50歳代以上1169人 20.6%と,女性従事者比率の上昇と高齢化が見られた。医療機関の従事者職種は医師21.3%,診療放射線技師61.8%,看護師10.1%,薬剤師3.1%で,医師と薬剤師の比率が増加した。インビトロ検査従事者は287人 4.9%と一層の減少を認めた。核医学機器の保有状況では,アンガー型カメラは1267台と前回に比べ69台減少した。カメラの内98.4%がSPECT装置であった。2検出器型比率が79.8%と増加したが,3検出器型SPECTは漸減し,SPECT/CT複合機は前々回の約6倍(95台)に急増した。キュリーメータを保有する施設の比率は減少し,61.4%となった。PET/CT複合機は全PET機器の75.8%と増加した。機器の保守状況は今回,点検計画策定,日常点検,メーカーによる保守点検に区分して調査した。それぞれの実施率は,2検出器SPECTカメラの場合,63.3%,87.4%,92.1%,PET/CT複合機では,80.6%,95.8%,98.6%と前回よりも上昇していた。平均使用年数は約2年延長した。フィルムレス運用は全体で77.0%の施設が実施しており,公立病院の実施率が81.2%と最も高く,最低は国立病院機構の60.3%であった。
以上,薬剤師増加,保守点検率の上昇など,安全管理に向上が見られた反面,キュリーメータ保有率の減少,機器の使用期間の延長の問題が明らかとなった。SPECT/CT複合機の増加,フィルムレス普及が認められた。

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