RADIOISOTOPES
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原著
降水観測値を利用した初期地下水のトリチウム濃度の推算
斎藤 正明今泉 洋石井 吉之加藤 徳雄
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ジャーナル オープンアクセス

2012 年 61 巻 10 号 p. 505-510

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抄録

地下水年代を推定するためには初期地下水のトリチウム濃度を知る必要がある。初期地下水トリチウム濃度を見積もる関係式 T=R max+(1-R)min を提案した。ここで,maxは毎月降水採取による年間最高濃度,minは年間最低濃度,Rは地域定数である。日本列島をカバーする4地点で3年間にわたって降水トリチウム観測を行った。各地の定数Rは,札幌R=0.43±0.18,新潟R=0.45±0.08,東京R=0.23±0.08,松山R=0.18±0.07であった。定数Rは年次変化にもトリチウム濃度の高低にも依存しなかった。各地での定数Rを地域定数とみなすことで,公表済みの観測データを活用し,過年度の初期地下水濃度を推定することが可能となろう。

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© 2012 by Japan Radioisotope Association
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