2015 年 64 巻 1 号 p. 47-58
ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)では,現在ホウ素薬剤としてBSHとBPAが,脳腫瘍,悪性黒色腫,そして頭頸部癌に用いられているが,本治療法の適応疾患拡大及び治療効果を高めるためにも,がん組織に選択的に10Bを送達する新しい薬剤の開発は吃緊の課題である。薬剤開発では,がん細胞親和性を持つ低分子ホウ素化合物と,抗体やリポソーム,エマルジョンなど生体高分子や分子集合体を利用したホウ素デリバリーシステムの2つの戦略に分類できる。本稿では,最近のBNCT用ホウ素薬剤の開発について紹介する。