2015 年 64 巻 6 号 p. 416-421
粒子線治療(陽子線並びに重粒子線治療)はその良好な線量分布により,X線治療に比べ周囲のリスク臓器の線量を低減しつつ,腫瘍への高線量照射が両立できる。肺癌治療においては,X線治療の高精度化により成績向上がみられているものの,いまだに局所制御不良や周囲の正常組織への障害が問題となり,治療成績改善の障壁となっている。粒子線治療を用いた高線量照射によりさらなる局所制御の向上・副作用の低減が期待され,これまでに複数の臨床試験が報告されており,本稿にて概説する。