2016 年 65 巻 2 号 p. 45-58
牛肉,山菜類,果実類,キノコを用いて調理前後の放射性セシウム濃度を測定し,除去効果を検討した結果,調味液へ浸漬してから牛肉を乾燥させた場合や山菜類をあく抜きした場合では,調理前の80%以上の放射性セシウムが除去され,調味液への浸漬やゆで調理,及びこれらの工程後の水さらしが放射性セシウム除去に有効であることが示された。しかし,牛肉及び果実の単純な乾燥,果実類のジャム,焼きシイタケ,山菜類のてんぷらでは,放射性セシウムはほとんど食品から除去されなかった。調理法によっては,放射性セシウムの総量に変化はないものの,水分除去等により濃度が上昇することがあるため注意が必要である。