2016 年 65 巻 9 号 p. 383-392
近年,河川や湖沼,海洋の放射能による環境汚染が問題になっており,物理的・化学的対応がなされている。また,持続的な環境修復という視点から,低濃度でしか存在しない場合でも生物濃縮機能の利点からバイオレメディエーションが注目されている。本研究では,身近な現象として貯水池(金沢市俵町大池)に大量発生し用水溝を詰まらせているアオコ(Phytoplankton biomass),オオマリコケムシ(Pectinatella magnifica),珪藻などについて生物的環境浄化の視点から研究を行った。これらの微生物についてICP-MSとSEM-EDSを用いて観察したところ,生息するこれらの微生物にストロンチウムを収着する機能があることが明らかになった。さらに,アオコが発生した池の水に焼成したゼオライトを投入したところ,急速に水が澄む現象を認めた。身近な汚染環境の浄化に土着の微生物が密接に関与している事実と安価・簡便な環境修復技術を資料として提供する。