RADIOISOTOPES
Online ISSN : 1884-4111
Print ISSN : 0033-8303
ISSN-L : 0033-8303
資料
アオコとオオマリコケムシにみられるストロンチウムの収着作用—生物的環境浄化の密接な関係—
田崎 和江 キリー ブランドン山本 幸子佐藤 誠林 隆志竹原 照明
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2016 年 65 巻 9 号 p. 383-392

詳細
抄録

近年,河川や湖沼,海洋の放射能による環境汚染が問題になっており,物理的・化学的対応がなされている。また,持続的な環境修復という視点から,低濃度でしか存在しない場合でも生物濃縮機能の利点からバイオレメディエーションが注目されている。本研究では,身近な現象として貯水池(金沢市俵町大池)に大量発生し用水溝を詰まらせているアオコ(Phytoplankton biomass),オオマリコケムシ(Pectinatella magnifica),珪藻などについて生物的環境浄化の視点から研究を行った。これらの微生物についてICP-MSとSEM-EDSを用いて観察したところ,生息するこれらの微生物にストロンチウムを収着する機能があることが明らかになった。さらに,アオコが発生した池の水に焼成したゼオライトを投入したところ,急速に水が澄む現象を認めた。身近な汚染環境の浄化に土着の微生物が密接に関与している事実と安価・簡便な環境修復技術を資料として提供する。

著者関連情報
© 2016 公益社団法人日本アイソトープ協会
前の記事 次の記事
feedback
Top