2017 年 66 巻 6 号 p. 207-216
新しいGM管として,計数ガスに空気を,クエンチングガスにエタノール蒸気を,陽極に“とじ針”を,そして陰極にプラスチック円筒容器の内側へ挿入した導電性の紙を用いたGM管を作製した。針先端の電位分布やガス増倍度を計算によって求めた結果,及び実験的に調べたプラトー特性,ならびにβ線の入射位置や針の先端の位置と検出効率との関係などから,この計数管の動作特性について検討した。プラトー特性の比較的大きな勾配は,印加電圧の上昇につれて検出有効体積が増大するためであることを明らかにした。針陽極型と線陽極同軸型ではガス増倍の様子が異なることを示した。この計数管は極めて容易に手作りでき,かつ計数動作は十分な安定性を持っているので,放射線教育実験に適している。