2019 年 68 巻 10 号 p. 701-707
HIMACを使った重粒子線による生物学的効果比に関する研究成果を紹介する。炭素線治療は,光子線治療に比べて,強力ながん制御能に加えて低侵襲であるため,QOLが高い。炭素線治療の有益な効果を理解するためには,線エネルギー付与と生物学的効果比の関係について正しく把握し,線量を正しく評価することが重要である。ここでは,炭素線治療における生物学的効果比の概念についての現状と意義をまとめて,HIMACを使った重粒子線研究から明らかになった生存率,正常組織障害,腫瘍増殖遅延を指標とした生物学的効果比の結果を紹介し,未解決問題について論じる。