2019 年 68 巻 5 号 p. 339-344
培養細胞と体内組織の親和性向上,細胞培養時の立体的な方向制御のため,温度応答性細胞培養膜表面への微細構造導入を試みた。電子線グラフト重合法とµmオーダーの格子状Si-maskを用い,Ethylene-tetrafluoroethylene copolymer (ETFE)にPoly(N-isopropylacrylamide)(PNIPAAm)を部分付与した。共焦点レーザー顕微鏡により電子線拡散とグラフト鎖伸長による丸みのある3 µmの凹凸を観察し,顕微FT-IR測定により凹凸とPNIPAAm付加分布の対応を確認した。PNIPAAmの下限臨界溶解温度(LCST)前後の接触角評価から濡れ性が変化し,細胞接着剥離の制御性が示唆された。