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原著
猫における99mTcMAG3腎シンチグラフィに関わる人の放射線防護評価
Nattawipa Suwannasaeng柿崎 竹彦 和田 成一夏堀 雅宏
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2021 年 70 巻 4 号 p. 209-217

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抄録

99mTc-mercaptoacetyl triglycine(MAG3,投与量93–141 MBq/頭)による腎シンチグラフィでの猫(腎疾患20例および正常例8例)の表面線量率(SDR)と空間線量率(ADR)のモニタリングから,核医学検査時の獣医スタッフと飼い主に対する外部被ばく線量を推定した。最も高いSDRは腹部腹側表面であり,そのSDR時間経過は,物理的半減期(6.01 h)の減衰曲線未満であった。ADRは,患者からの平均距離を100 cmに保つことにより,SDRに対し1/100の有意な減少を示した。猫は投与後24時間で115 μSv/h未満(物理学的半減期に基づく無限大時間までの累積SDRは1 mSvつまり公衆への線量限度)未満となる管理区域外への退出許容可能なSDRを示した。MAG3投与後の排尿は24時間以内のSDR(0.38–9.6 µSv/h)に顕著な影響を及ぼし,排尿したすべての猫は投与後24時間以内に年間の公衆に対する線量限度の1/10未満を示した。これらの結果は日本の現在の法令基準を十分に満たしていたが,最大SDRが十分に低い場合では,投与後24時間の管理区域内での保管という規制が過剰であると見なされた。動物,その飼い主,および動物病院の負担軽減の観点から,各患者の最大SDRに基づいて管理区域外への退出基準を決定することが望ましいと考えられた。

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