2022 年 71 巻 2 号 p. 153-160
日本酒中のトリチウムについて放射能分析を行った。トリチウムは水素の放射性同位体でβ線エネルギーが低いため検出や除去が難しいとされている。我々は過去に差動型磁気浮上電極電離箱を用いて水蒸気化したトリチウムガスの放射能濃度を測定した。今回その結果をもとに福島県特産の日本酒を揮発させ,トリチウムが含まれると仮定した場合の放射能を直接測定した。測定の結果放射能は検出下限値を大きく下回り,推定される放射能濃度は日本およびWHOの飲料水基準を十分満たしていた。