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三重水素チミジン (tritiated thymidine) の組織培養されたHeLa細胞のデオキシリボ核酸への導入実験
関口 豊三完倉 孝子江藤 秀雄岩倉 哲男
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1961 年 10 巻 1 号 p. 135-139

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抄録

1×107個のHeLa細胞をラクトアルブミン0.5%および酵母抽出液0.1%を含有するEarle塩類溶液8容および牛血清2容より成る培地10mlを用いて組織培養法によって増殖させ, この培地に3H-thymidineを0.5μc/mlの終濃度にまたは32Pを1.0μc/mlの終濃度に加えてふ置し, 1, 3, 6および24時間後におけるDNAへのとりこみ (Incorporation) を測定した。DNAは食塩法によってNa-nucleateとして抽出して精製した。3H-thymidineを用いた実、験では, その放射能をgas flow counterおよびliquld scinti11ation spectrometerを用いて測定した。
gas flow counterによる測定値と1iquid scintillation spectrometerによる測定値とは相対的によい一致を示したが, 上記の条件では1iquid scintillatorのそれが低く (39%) , quenchingがおこっていたことを示した。
3H-thymidineのDNAへのとりこみを32Pのそれと比較すると, 明らかな相違が認められた。すなわち3H-thymidineはふ置1時間後においてDNAに著明にとりこまれているが, 32Pは3時間以後でないとDNAにとりこまれなかった。また比放射能値も3H-thymidineは32Pのそれに比して3~4倍高い値を示した。

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