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放射性スラッジの脱水処理に関する研究
石山 稔雄松村 隆真室 哲雄
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1963 年 12 巻 3 号 p. 277-285

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抄録

多量の低レベル放射性廃水を凝集沈殿処理するさいには, 放射性スラッジの脱水減容が問題となる。従来から行なわれているスラッジ脱水方式の主要なものは沈降分離法, ロ過法, 遠心分離法, 凍結再融解法の4種およびそれらの組み合わせである。
スラッジにある種の助剤を加えると, 脱水効果が促進される。たとえば, リン酸スライムにアクリルアミド系高分子化合物を助剤として添加すると, 真空ロ過が促進されることが報告されている。われわれは数種の高分子化合物を選び, これらの添加助剤としての効果を遠心分離法を除く上記各種脱水方式の場合について調べた。試験したスラッジとしては, ベントナイトーコーナンフロック・スラッジ, リン酸カルシウム・スラッジおよび水酸化鉄・スラッジの3種を選んだ。
実験の結果, 減容の観点からもっとも効果的な処理法はつぎのように要約される。
(a) ベントナイトーコーナンフロック・スラッジでは, ポリオキシエチレンを約100ppm添加, 緩速冷却凍結, 再融解後真空ロ過する。
(b) リン酸カルシウム・スラッジでは, コーナン・フロックを約1, 000ppm添加, 緩速冷却凍結, 再融解後真空ロ過する。
(c) 水酸化鉄・スラッジではやや急速に冷却凍結, 再融解後真空ロ過する (助剤の添加はほとんど効果が認められない) 。
凍結再融解後真空ロ過の方法によれば減容比はきわめて高くなるが, スラッジ・ケーキの取扱いが面倒であるので, 処理量があまり多くない場合には, 融解後の濃縮には沈降分離法がより簡便であろう。

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