1964 年 13 巻 6 号 p. 439-443
ニッケル表面に吸着している水素のうち, 強い結合力のものがとくに反応しやすいことが見い出されているが, このようなことがニッケルの還元処理の温度のいかんにかかわらず成立するかどうかを, ニッケルの還元処理温度, およびこれに吸着する水素の吸着率を変えながら, 吸着水素のエチレンに対する反応性をトリチウムをトレーサーにしてしらべた。その結果, 200℃で処理したときには, 弱く吸着している水素と, 非常に強く吸着している水素とが反応しにくいこと, 400℃処理では, 弱く吸着している水素だけが反応しないことがわかった。また, このような処理温度による差異から, 水素をとくに強く吸着するsiteは処理温度の上昇により消失することを推定した。