1965 年 14 巻 3 号 p. 225-232
放射能除染という立場から, 主として本邦産の砂および粘土などに対する核分裂生成物の収着性についてバッチ法で検討した。その結果産地, 産出状況などにより除染率に相違があり, わずか40%のものから100%ちかくのものまで, いろいろあることがわかった。除染率と化学組成との間には, とくにきわだった関係を認めることはできなかったが, 鉱物組成との関連については, 方解石を比較的多量に含むものは, 一般に除染率が高く, おたがいに類似した挙動を示すことが明らかとなった。また核分裂生成物中の個々の核種についても検討したが, 一般的に希土類元素に対する除染率が高く, 一方, ルテニウムに対しては低いことがわかった。ストロンチウム, セシウムについては, 試料の性質により除染率が著しく影響されるが, 試料のいかんを問わず, それらの除染率のpH依存性はおたがいに類似していることがわかった。