1965 年 14 巻 6 号 p. 439-444
35S-硫化水素をトレーサーに用いて硫化水素ふんい気中, 硫化亜鉛粉末を焼成することにより, その結晶成長過程におけるふんい気の挙動を究明した。試料の硫化亜鉛粉末0.5gを密閉式反応管中で硫化水素1気圧下, おもに500°~1, 150℃の範囲で10~120分間, それぞれ焼成した。その結果, 気相 (硫化水素) から固相 (焼成硫化亜鉛) へのイオウの拡散速度 (単位面積あたり) は焼成温度1, 000℃以下では徐々に, それ以上では急激に増大した。さらに硫化亜鉛に拡散したイオウ原子のそのbulk内における分布状態についても調べ, その拡散機構を検討した。