1968 年 17 巻 9 号 p. 423-427
前報で, 14MeV中性子による34S (n, p) 34P反応を利用した石油製品中のイオウ分析について述べた。おもな分析妨害元素である酸素の補正を行なったが, 石油製品中に含まれる酸素以外の微量元素のもつ放射能のために, 測定値には正の偏りが認められた。
本報では, これら分析妨害元素の, 偏りに及ぼす影響と分析精度の検討を行なった。計算と実験から, 測定値の偏りには13Nの寄与がもっとも大きいことが明らかになった。したがって, 実験では, おもに13Nによる影響を除くための測定方法がとられた。このようにして求めた測定値の偏りは, 軽油で+0.06S%, A重油で+0.09S%, およびB重油で+0.11S%であった。相対標準偏差は, イオウと妨害元素の濃度によっても異なるが, イオウ0.54%の軽油で7.4%, イオウ2.40%のB重油で2.4%であった。