1969 年 18 巻 4 号 p. 143-147
抗トキソプラズマ薬, 2-sulfamoyl-4 , 4'-diaminodiphenyl sulfone (SDDS, フリートミン) の生体内運命を知るため, 3H標識薬物を用いて, マウスにおける生体内運命を全身オートラジオグラフィにより検討した。薬物は腹腔内, 経口および筋肉内の3ルートで投与した。投与法のいかんにかかわらず放射能活性は中枢神経系をのぞくすベての組織にほぼ一様に分布したが, 吸収および全身への移行速度は経口, 腹腔内投与時に速く, 筋肉内投与時には緩徐であった。全身的なピークは投与後3~5時間後にみられ, 以後しだいに減少して24時間後には体内に放射能活性はほとんどみとめられなかった。放射性物質のおもなる排泄経路は胆汁および尿を介してなされた。妊娠マウスにおいては親の各組織同様に胎児および胎盤にも一様に放射性物質が移行したが, 時間の経過とともに減少した。