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タンパク結合203Hg, 115mCdおよび65Znとキレート剤との相互作用
杉浦 幸雄田中 久
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1970 年 19 巻 1 号 p. 7-12

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抄録

タンパク結合金属とキレート剤との反応を平衡透析法によって検討した。ペニシラミンやN-アセチルペニシラミンのようなSH基を含むキレート剤は, タンパク中のチオール基に強く結合している水銀の除去に対して著しい効果を示した。亜鉛除去の場合には, EDTAやDTPAがSHキレート剤に比較してはるかに効果的であり, そして亜鉛キレートの生成定数とタンパクからの亜鉛除去率との間にはよい直線性が認められた。カドミウムの除去率は, SHキレート剤とEDTA類似体とでおのおの別個にキレートの生成定数と関連していた。検討されたタンパクにおいて, 金属除去の容易さの順序はキレート剤の種類にかかわらず, ミオグロビン>血清アルブミン>ヘモグロビンであった。さらに, タンパクからの金属除去における中間錯体としての三重錯体の存在が, 14C-システィンを用いてゲルロ過によって示された。

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