最近フェライトを消化管のX線診断用造影剤として用いる試みがなされ, 有望な造影剤として注目され始めた。しかしこれを臨床に応用する場合, まずフェライトが患者の消化管より吸収されず, 無害であることを確かめる必要がある。本研究はまずフェライトの消化液への溶解性を検討するために, 59Fe, 65Znおよび54Mnで標識されたフェライトのpH2の塩酸溶液, およびpH8.6のベロナール緩衝液に対する溶解性を検討したところ, ほとんど溶解しなかった。さらにRI-標識フェライトを正常ラット, および塩酸を経口投与して胃腸障害をおこさせたラットに胃ゾンデで投与し, 経時的にその全身残留量および組織内分布を検討したところ, 7日目までにほとんどふん便中に排泄され, 組織内にはほとんど認められなかった。